翻訳の質の低下が否めない…と思った事のメモ書き

「翻訳業界に価格破壊を」 ソーシャル翻訳「コニャック」がリニューアル

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1201/11/news078.html

 

こないだのNHKのレディ・ガガ字幕翻訳騒動を見ても、今非常に自称”翻訳者”が多いのが見受けられる。

例えばこのかたなんかもそうだが、翻訳・通訳の業界に少しでも触れたことあるアマチュアでもまずNHKが外注したのでは?等と言わない。逆にこの方なんかの指摘は正確。私もプロでないにしろ、ボランティアやアマチュアの端くれとしてやっていてもこのぐらいの事は知っている。

> NHKの翻訳業務は、番組ごと外部委託する場合と、一部の例外を除き、子会社のNHK情報ネットワーク所属のバイリンガル・センターという部署に独占的に委託されます。BSニュースとかで同時通訳を引き受けている部署です。
> だから訳したのはアマチュアではなく、プロのはずです。ただし、彼らの通常の業務はニュース翻訳であり、歌詞や芸術作品の翻訳は不得意です。かつてNBAの 黒人選手たちのインタビュー翻訳を頼んだら、普段バリバリにニュース翻訳している人に滅茶苦茶な訳をされた挙げ句、「あのー、実は何言ってるか全然わかん ないんです…」と泣きつかれたこともありました。

ようするにNHKG-mediaんところですな。ちなみにここには通訳者・翻訳者養成を目的する研修室があります。NHKを見ていたり聞いていて酷いと感じる訳がたまに出てくる時はここに所属しているセミプロの可能性が高いですが、はっきり言って普段お目にする番組ではないと思います。まぁ私はNHKの内部事情を知っているわけではないのでここは憶測です。

日本ではTOEICが盛んに英語力の基準にされているため、ここでも一応目安として書かれています。スキルアップコースで930,950以上または同等の英語力が目安として書かれています。英語できる人からすると、このTOEICの点数はTOEIC対策を全くしたことない人が気まぐれで受験してとれる点数です。その他、翻訳・通訳で良く出てくるのがサイマル日米会話学院があります。ちなみに、日米会話学院と日米英語学院とありますが、ぜーんぜん別組織です。さてさて、この2つも大体似たようなTOEICスコアを求められるわけなので、ようするに翻訳・通訳を教えてもおkぐらいな英語力ある人達ラインです。

このラインはあくまでスタートラインとしての足切りラインであり、英語ができる・でないのラインではありません

だんだん思ったことを書くのがめんどくさくなってきた。まぁそのうち清書するかもしれない自分の覚書として…

まぁこういうのを踏まえると、ひじょーに自称翻訳者が多いって最近感じる。特にOSSの翻訳まわり。アマチュア・プロ翻訳を名乗っている人が多く、批評を目にしていてもOSSの翻訳をちょろっとやっただけとかってのがすぐ判る。そうならそう書けばいいのに、翻訳家とか書くからなんだかなぁ…って感じる。

レディ・ガガの件に戻っても、確かに大雑把すぎる訳だったかもしれないけ。しかし歌詞の解釈なんて本人が語らないと判らないのが歌詞であり、それも歌詞の魅力でもあるんでないだろうか。自分なりの解釈を自分なりでこっそり展開して意見をぶつけあえばいい。日本の歌の日本語の歌詞でも歌詞解釈は良くファンの間で論争になったりするでしょ。母国語の歌の歌詞解釈も人によって違うっていうのが歌詞なのに、母国語でない言語の歌詞解釈でテレビ放映された歌詞批判するのはちょっとなぁ…恐らく批評している人の8割よりは訳した人の方が英語力あるだろうし。NHKで訳した人はこういう解釈をした…程度に受け止められないものなのだろうか。もしあれが”レディ・ガガ公式”の歌詞でないのなら、個人的には英語の歌詞載せりゃよかったと思う。だって英語の歌なんだから…

 

んで、本筋(ソーシャル翻訳「コニャック」)に戻ると、アマチュアばっか雇った所でぶっちゃけ翻訳の質は上がらない。高品質って意味ではしっかり訓練を受けた人でないとできない。ってのが正直な感想。ある程度の質まではできたとしても、やはりプロレベルではない。

ネット上でアマチュアで活動している中で、どれだけMicrosoftやSun(現Oracle)、JIS規格を知っているんですかね。内閣告示もあり、ソフトウェアの翻訳をするにはこれらは避けて通れないドキュメントです。これらを踏まえた上で、ユーザ・第三者の目に付くような翻訳をする時は想定利用者に馴染みのある・勘違いの起きない翻訳を心がけなければいけません。そうなってくると、やはり上記にあげた訓練校で培った知識や技が訳に立つのです(意訳の方法)。どちらにしろ基礎知識・方法は必要なんです。もしくは、長年の(対象とするソフトウェアの翻訳)経験が必要です。

歴史的経緯からソフトウェア翻訳は各々がやってきた上、上記のドキュメントもどちらかというと後追いです。告示されたものに後から合わせるのも自由ですが、それによって利用者が混乱しては元も子もない、うーんどうしよう…ってやはり悩む…ただし、これらを悩むのは上記ドキュメントを知った上でしないと行けません。もやもやむずむずするこの感覚…どうすりゃいいんだ…ってのは実はいまgnomeの翻訳コミュニティの中で進行形で話し合われていたりします。まぁ長音付与をどうするかに関してが今回の焦点なので関連事項程度なんですけどね。逆に言えば長音付与に関して建設的な意見をできる人が集まっているある意味プロです。ここはかなり昔からソフトウェアの翻訳に携わってきた”翻訳アマチュア”の”プロ”です(中にはプロの人もいるでしょう)。こういう人達は他のOSS(特にwebアプリ)に比べて高品質な翻訳の提供を常に心がけていると感じます。私なんかよりずっと良く判っていますね。ここでこの話題を出すのも恥ずかしいです。けど、まぁ個人のメモ書きなので書き殴っちゃうヽ( ・∀・)ノキャッキャッ。

 

こういう人達がソーシャル翻訳「コニャック」にいれば高品質な翻訳は提供できるでしょう。今までの歴史的経緯も全て把握しており、どのアプリはどういうユーザ層だからどういう翻訳をすればいいか判っているので。ただし、この界隈で言われているのは翻訳者の平均年齢が毎年”1歳”あがっている、所謂高齢化及び新規翻訳者参入の少なさ、なんです。つまり、根本的にソーシャル翻訳「コニャック」に集まるような人と住む世界がちゃうんです。だって、色んな所で見るちょっとしたソフトウェアの翻訳なんかよく判らん人(私とか!)が沢山います。見てみると比較的若い人も多いんですよね。ツイッターで翻訳やってるとか書いている若い人もチラホラいます。

ソーシャル翻訳「コニャック」はこの2つの違うコミュニティをつなぐパイプにでもなれば、高品質な翻訳を提供できると思いますです。まぁリニューアルしたばっかでまた方針転換するのは難しいんだろうけど…

 

まーただらだらまとまりのない文章になった。まとめよう。

・翻訳の自称アマチュア・プロが多くて質が低下している。ちょっとでもまじめに翻訳やった人なら当然しっている事を知らない人が多い。

・ITのソフトウェアに限れば歴史的経緯等からアマチュアのプロ(高品質な翻訳者)もいるところにはいる

・けど低品質翻訳を量産する自称アマチュア・プロとコミュニティが全く別

・ソーシャル翻訳「コニャック」はたぶん高品質なものは提供できない(以前よりは良くなるかもしれない)

 

って思った事を書いて見ました。

ちなみにプロ・アマの違いはプロ=翻訳関連で生計を立てている人、アマ=翻訳関連で生計を立てていない人 ってかんじですかね!